先日、小説講座の創作ミーティングの話題でふと思ったのだが、直接「小説を書き続けるコツ」を考えるよりも、たぶん「書けなくなるパターン」を知っておいて、それを避けるようにした方がいい気もする。
だって、小説の書き方は、人によってだいぶ違うから「どうすれば書き続けられるか」はかなり違っている。しかし、書けなくなるっていうのは、わりと似たようなパターンがある。
たとえば、忙しすぎて書く時間がとれない、という悩みがある。たしかに社会人や学生だと、残業が多かったり、育児とか他のことで毎日忙しい、というのはある。だが、それでも、実際、小説講座の生徒さんの話を聞いていると、けっこう別の要素が大きい。たとえば、毎日ほとんど残業ばかりで、帰宅はいつも夜10時すぎ……という人でも、小説を書いている人はけっこう書く。長年、小説講座の担当をしていると、どうも仕事や家庭での多忙さと執筆量はそこまで関係ないかもしれない。一方、なかなか書けないという人にはわりと共通点がある。
書く時間や場所を、とくに決めてないという人だ。書く習慣の有無。
どれだけ多忙でも、寝る前に必ず、たとえ30分でも、とにかく毎日書いている。こういう習慣の影響は大きい。あるいは、昼休みにいつも30分だけ、書いているという人もいる。あるいは平日は無理だから、土曜や日曜に書きためる。または午前だけ、あるいは午後だけ、あるいは夜だけとか。
まあ、人によっては、大型連休とか祝日を使って一気に書くとか、けっこう色んな人がいるのだが。
でも、結局、文章を書くことも、楽器やスポーツなどと似たようなところがある。ジョギングにしても何にしても、やっぱ、ある程度、毎日ちょっとずつでも続けた方がいい。体力がないと続かないし、楽しくもない。ピアニストだって、何日もずっと練習を休んだら、指が動きにくくなるというが、文章だって同じだ。
だから、小説講座に入学してきた人には、社会人でもまず「習慣」を作ってくださいねとお願いしている。とくにプロ作家志望なら、できるだけ1日最低1時間。それが無理なら、30分ずつ。あるいは、休日に3〜4時間ずつ。つまり週7時間くらい。
家で書きにくいなら、どこかのカフェにいくのもいい。とにかく「書く場所」と「書く時間」が決めてもらって、それをまず「習慣」にしてしまう。たまにやるだけでは、なかなか作品も完成しないし、上達が難しい。
他にも「書けなくなるパターン」は色々あるけど、この「書く習慣」の有無の影響はかなり大きい。うちみたいな小説講座に通学するメリットは、プロ作家から直接いろんな体験を聞けるとか、小説創作のテクニックが学べるとか、作品講評をしてもらえるとか、色々あるけど、案外、この「書く習慣」を続けるのに、けっこう効果があるのかもしれないな、と思ったりする。