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12/11/2005

楽しい小説講座

12月10日(土)
午後から小説講座の事務所。夕方から、小説専攻科と第9期の講義。

今日は、専攻科はクラス分け前で、合同クラスで実施。第9期もあるので、小説講座の全在籍者が出席する日である。第9期のクラスは、小森健太朗先生の「トリックと創作」。小森先生と言えば、16歳で書いた作品が乱歩賞最終候補になったので有名なミステリ作家さん。翻訳もされたり、大学で講師をされたりしてる。専攻科は、青木治道先生の短編指導。青木先生は、編集者で青心社の社長。うちの講師陣では、唯一、プロ作家ではない講師である。

さらに、田中啓文先生が「小森さんにちょっと相談があるから」とふいに遊びに来られる。なんて「豪華」な日なのかしら。相談内容はわかんないんだけど、小森先生は、「親指シフトキーボード」のヘビーユーザーで有名だから、たぶんその件かな。世の中では、ほぼ絶滅しかけている「親指シフトキーボード」だが、作家さんに限れば、今でもかなりたくさん使っている人がいるみたい。田中先生も、たしか「親指シフト」の人ではなかったかしら。

今日は、生徒さんの欠席者も少なく、また、知りあいの女性フォトグラファーのOさんも見学に誘っていたので、教室はほぼ満席。Oさんに「見学に来ない」と誘ったのは、「小森先生って、ホント頭よくて、ハンサムで、独身なんだよ〜」と誘い出して、「でも、『著者近景』の写真がイマイチ実物よりも映りがよくないみたいなんだよね。誰か写真、撮ってくれたらいんだけどなあ」などと言って、写真を撮ってもらう魂胆である。先生本人に断わりもせず、勝手に「写真撮影」を手配しているおせっかいな私。でも、やっぱりプロが撮ると全然違うしさ。せっかくの「男前」なんだし、写真映りが悪いともったいないもん。ほら、ノベルズとか、著者近景も、少しぐらい売れ行きに左右するかもしんないじゃん。美形に撮るのも、商売のうち、ということで。

彼女は笑いながら「いいわよ」と言ってくれて、講義が終わってから、小森先生に「写真を撮らせてもらっていいですか」と言う。突然のことで「え、なんで?」とびっくりする小森先生だけど、カンタンに教室内でデジカメで撮影。照明などの機材をもってきてないので、ぴしっと決まったというわけにはいかないのだけど、いくつかポーズをして、撮ってもらいました。「もう少し髪を切った方がカッコイイんだけどね」と言われてましたけどね。誰か、今度はスタイリストも連れてこようかしら。

で、たまたま田中先生もいたわけなので、ホント言えば、せっかくだから、撮影してほしかったのだけど(田中先生は、女性作家さんたちの間でも、「男前」として人気高いんですよね)、急にお願いして、気を悪くされたりしたらイヤなので、さすがに言い出せなかった。ちょっと残念。「そんな写真、要らないよ」と言われるかもしんないけど、撮影してみてほしかったなあ。なんなら私個人のためにでも(おいおい)

講義終了後、例によって、中華屋さんで飲み会。9期生は、あまり飲み会に参加する人は多くないのだけど、専攻科と第9期をあわせると、40人以上になってしもうた。小さな店は、うちの生徒さんでいっぱい。今日は、専攻科のクラス志望届の提出日で、その問い合わせなどもあり、あちこちのテーブルを移動。

回収した「志望届」を見ると、クラス分け自体は、「賛成」か「どっちでもいい」という人がほとんどで、反対という人は1〜2人。ただ、2クラスのうち、どっちに志望届を出したらいいのか、迷った人が多かったようだ。結果的に、悩んだ末に「プロ志望クラス」という人が多かったのか、半数以上がプロ志望クラスになっている。正直、「年間合計600〜1300枚、最低4回の作品を絶対に提出」という条件か、あるいは「年間合計300枚以下」というのが、悩む原因になったに違いない。年4回の締切は、実際には、1月、3月、5月、7月。でも、あわせて600枚だから、最低でも、短編3本、長編1本ということになる(まあ、もちろん4本とも長編でもいいわけだが)

さて、これは予想されたことだが、「今は、仕事が忙しいので、年に1作だけ、450枚の長編を作品指導してほしい」という人が2人ほどいた。まあ、年間300枚以下か、600枚以上の2クラスに分けてしまったので、その間の枚数を予定している人なら困ってしまうだろう。「そういう場合は、どうすればいいんですか?」という質問が来ることくらいはわかる。

ただ、これまで小説講座をやってきた経験から言うと、だいたいの生徒さんは、年間300枚以下か、600枚以上1000枚以下か、まあ、たいていどっちかなのである。ほとんどの人は、どっちかのグループであって、その間にはいない。実際には、長編1本だけなら500枚くらいになるのかもしれないのだけど、なぜだがそういう人は、ほとんどいないのだ。どういうわけだか知らないけど、経験上、なぜか、たいていそうなのである。まあ、たまたまそういう人がいることもあるが、かなり少ない。

なぜだか知らないけど、たいていは年間合計300枚以下か、600枚以上である。もしかすると、本人は「今年は、長編を1作だけ書こう」と思っていても、シロウトの人だから、計算通りにならないのかもしれない。たいていは、「長編は完成できなかったので、今年書いたのは、短編数本だけでした」か「長編は思ったよりも早めに完成したので、中編や短編も書いちゃいました」のどっちかである。まあ、年600枚というのは、月50枚平均の計算である。短編だけでも、2週間に一本書けば、すぐに600枚になる。

世間では、年間1000枚以上書くというシロウトの人もけっこういる。まあ、電話での問い合わせでもそういう人がいたりするのだが、ただ、うちの生徒さんの場合、単に書けばいいんではなくて、そのあと、プロの作家さんに作品指導を受けるわけである。だから、作品提出をする前に、本人もかなりチェックもしなくてはいけないし、だから「何も考えずにサクサク大量に書ける」などいう人はいない。まあ、そういう意味では1000枚以上書く人はほとんどいないのだが、それでも年に600枚くらいは書いてしまう。

クラス分けの条件は、2ヵ月以上も色々検討して決めたのだが、結局、志望するジャンルや狙っている賞ではクラス分けができないし、書く枚数で分けるのが一番わかりやすくていいのである。プロ志望クラスは、年4回の締切に一度でも提出できなかったら、即刻、実力養成クラスに移動してもらう。その方がわかりやすいんじゃないかなと思う。もしプロ志望で、新人作家として、今年か来年にはデビューしたいというのなら「締切」は守れた方がいいわけだし。

「でも、それはプレッシャーですよ。キツすぎますよ」という意見も出たのだが、「プロ養成クラス」なのだから、それほどキツすぎる条件でもないと思うし、それがキツくて、のんびりやりたいのなら、別クラスに入れば済む。だいたい今の専攻科は、ちょっとノンビリし過ぎるのが困る点なので、「わざとプレッシャーをかける」のが意図だったりする。結果的に、何割か脱落したって、仕方ない気もする。私の立場からいうと、専攻科は、学費も安く、ほとんど儲けにもならないうえに、手間がめちゃくちゃかかる仕事である。だからこそ、どうせなら楽しくやりたいんだけど、その「楽しい」は、仲良しクラブじゃないんだし、単に「楽しくおしゃべり」というだけの目的ではない。楽しくおしゃべりするのもいいんだけど(いや、するけど)、別にそれは小説のプロ養成クラスじゃなくてもできるもの。実際、全員とは言わないけど、そろそろ何人かプロデビューしてもらわないと、私は面白くないんだもんね。

それに「長編」って、書くのには、気力も体力も時間もかかる。それに、ただ書くだけならいいだろうけど、それを読んで指導する方にも、かなり大変な負担なんである。だから、どうせなら新人賞とります、って方が目標も期限も何かといいんじゃないのかなあ。

専攻科のクラス分けは、Aクラス、Bクラスにすれば済むのだが、わざわざ「星組」と「花組」という愛称をつけてみた。「まるでタカラヅカみたいですね」と生徒さんに言われたけど、なんとなく、空の向こうに輝く「星」と野に咲く「花」と。なんだかそういうイメージだったのである。まあ、そりゃ、どっちも、なんの腹の足しにならないことは同じなんだろうけど、どちらも、人間にとって、けっこう大事なもんじゃないのかなあ。まあ、そんなふうに思っていたりするんだけどね。

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