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07/02/2005

死ぬまでバカやってるかも

7月1日(金)
午前中、外出。午後から事務所。

昼過ぎ、大学時代のS先輩から電話。「現役の後輩たちの学内展が今日までで、夜遅くまでやっているらしいので、夕方、一緒に行かないか」と言う。
そう言えば、ハガキが届いていた気もするが、どうせ平日だし、忙しいので行く気がなく、すぐにポイとゴミ箱に捨ててしまっていた。大学時代、私は油絵など描いていたのだが、後輩の展覧会には滅多に出たことがない。ところが、このS先輩は、卒業後も、同窓会などにも顔を出しているらしい。マメな方である。後輩の学内展など、正直ちょっと面倒くさいだけなのだが、卒業後して二十年近くたっても、なぜか先輩には逆らえないものなので、早めに事務所を出て、いったん自宅に帰り、夕食の準備をして、子供たちを実家に預けてから、母校の某大学へ。建て直しをしている実家は、本日、引っ越しなので、ちょっとイヤイヤだったが、お刺身などを差し入れして、なんとか預かってもらう。

7時半に待ち合わせて、夜の大学へ。学内展を見てから、近くの居酒屋へ。後輩は6人。私の分も含めて合わせて8人分、S先輩、ごちそうさまでした。

ところで、この先輩は男性の方なのだが、芸大を3浪してあきらめて法学部に入学してきた人なので、学年は私より1年上だが、年齢は4歳年上である。で、今ではすっかり「キャリア官僚」で、どう見てもエリートっぽい。のだが、大学の時は、絵ばかり描いていた人である。今では、すっかり仕事が忙しくて、絵なんか全然描いていない、描く時間がない、休日出勤が多く、今日も仕事の都合を無理矢理つけて来たのだそうだ。

「あの頃が懐かしいなあ、なんか色々楽しかった」と言う。そんな話を聞くたびに、私は、なぜだか少し申し訳ないような気がする。私は案外、やっていることがあんまりかわらない気がする。なんというか、まあ、大学時代だけが楽しくやっていたという感じではないので、この先輩みたいに「学生時代だけバカをやっていて、社会人になってからはすっかり真面目に暮らしている人」を見ると、なんだか、自分だけが今でもバカやってるみたいで、なんだか申し訳ないような気がするのである。

といっても、むしろ私の周囲は、日頃は「いくつになっても、たぶん死ぬまでバカ」な人が多いので、私だけバカやってるとは全然思ってないんだけど。まあ、私の場合、学生の時と同じなのは、あいかわらず金がないことと、仕事が忙しいといっても、どうせフリーなので、時間の都合がけっこうつくことだけである。

そういや、うちの小説講座の講師の先生たちなんかは、なんというか、プロ作家といっても、いつまでもどこか「学生のノリ」みたいなものがどこかあるような気がする。大学時代とか、高校時代とか「若い頃はむちゃやったよな」という人とはほんの少しだけ違う感じがする。小説だけでなく、映画関係者や漫画家さんとか、演芸関係の人も、なんだかそんな感じである。

そう言えば、大学の時にお世話になった植島啓司先生から(私は社会学部なので、ゼミの担当教授ではない)、こんな話を聞いた覚えがある(記憶違いだったらスミマセン)。
この先生が、高校生だか、大学生だかの時に、友だちと夜通し話し込んでいて、「こんなことやれるのは今だけだよな」と言っていたそうである。その時は、今だけだと思っていたそうなのだが「でも、あれから二十年たっても、あいかわらず『こんなこと』をやっているよなあ」としみじみ話されていた。けっこうテレビに出たり、雑誌の連載を何本も抱えていたり、色んな人と色んなことをされていた頃みたいなので、「こんなこと」が正確に何を指すのかわからないけど、その時は、朝までずっと皆で飲んでいたので、たぶんまだ「朝まで飲んで、色んな話をしている」という「バカ」をやってることじゃないかと思った。

それにしても、当時は、この先生も、今の私と同じくらいの年齢だったはずで、よくまあ、あの忙しい状態で、毎週、学生たちにつきあってくれたものだと今さら感心する。たしかに毎週ではないが、たいてい12時とか2時とか、あるいは、しばしば朝まで飲んでいた。私は、現役の時だけでなく、卒業後も数年にわたって、たまに講義に顔を出してもらっていたのだが(もぐり学生というのだろうけど、この先生のクラスには色んな人がかなりいた)ずっと何年もそんな感じであった。おかげで、私は色んなことも知れたし、かなり色んな話も聞けたわけで、本当に有り難いことだったが、つきあってくれる先生は大変である。

しかし、ということは、世の中の大人には、「あいかわらずバカな大人」と「昔はバカだが、今はちゃんとした大人」の2種類がいるのだろうか。あるいは、もしかすると「バカなんか一度もやったことはない大人」の3種類かもしれないけど。でも、そう考えてみれば、小説講座は、生徒さんも講師の先生も、なんだか「今でもあいかわらずバカ」みたいなところがあるなあ。やっぱり「昔はバカだが、今はちゃんとした大人」の方がたぶん世の中には貢献するし、必要な存在だよな。けど、あいかわらずバカをやれている大人たちも、けっこう面白い。そして、たぶんやろうと思えば、ずっと一生バカでいられる。一生バカやれる人も、たぶん世の中にはいっぱいいる。どっちの人生も、本人次第だから、どっちがいいか、何とも言えないけど、とりあえず、小説なんぞを書こうという人はたぶんバカには間違いないと思っている。

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