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07/17/2005

こだわらないように、こだわってインタビュー

7月15日(金)
午前中、原稿制作。午後、事務所を出たり入ったり。バタバタ外出。

夕方4時から、チケットをもらっていた「ゴッホ展」を見に行く。ホンマ美術館に行くのも、大変だ。うわさ通り、かなり人が多い。土日はもっとすごいだろうな。なんだか平日のせいか高齢者が多い。いつも思うけど、日本人がとくにゴッホを好きなのはなぜかしら。わかりやすいせいかなあ。美術館が便利な場所に移転したというのもあるし、人が集まりやすい企画をしているし、とても人気がある展覧会だ。国立国際美術館が千里に会った頃は、現代美術が中心だったせいか、いつもひっそりとしていた気がするけどなあ。それもなんだか懐かしいなあ。

昼、仕事の修正。クロスワードパズルの仕事。提出後、いつもあまり修正はないのだけど「いじめっこ」が使えないということである。差別用語でははないと思うのだが、クライアントがある仕事なので、政治的なキーワードも使わないし、ヒントの出し方もかなり気をつけているつもりなのだが、たまにこうして修正がある。クロスワードパズルでも、専門誌ではなくて、普通の雑誌のコーナーに掲載されるものは、多少、制限はある。難易度が難しいほど、パズルを作るのがカンタンそうに見えるが、実は、簡単なヤツほど、けっこう難しい。以前、子供たちのために簡単なパズルとか作ってみたのだが、子供向けは使える言葉がめちゃくちゃ限られているので、タテヨコ、ヒントを作るのもけっこう面倒で大変だった。

帰宅後、夕食。サンマ、サラダ、枝豆、冷ややっこ、ビール。すっかり夏である。自宅の仕事場を少し片づける。古い企画書、インタビューテープを整理する。企画書は、古くなってしまえば別に重要でもなんでもないのだが、インタビューテープは個人情報だから、一応、確実に廃棄しなくてはいけない。私は、概ねインタビューに使ったテープは、1年くらいで廃棄する。雑誌や印刷物だと、出版されるまでに数カ月かかるし、出てからしばらくも、何か問題があるとまずいので、そのまま数カ月置いておくのである。のだが、この数カ月ほとんどインタビューの仕事をしていないので、そのままになっている。

ところで、小説を書く場合も色々取材をする人もいるだろうけど、ライターの仕事をすると、取材そのものが仕事みたいなものだから、人を相手にインタビューをすることも多い。私はもともとコピーライターだけど、フリーになってから雑誌の仕事もするので、これまでに千回はしてないと思うが、少なくとも数百回はインタビューをしてきたのだろうと思う。今年は、小説講座の事務所の仕事が忙しいので、ほとんど仕事をしていないのだが、それでも今年に入ってからも二十件くらいはしているみたいだし、広告でもインタビューをすることは多い。会社案内、新製品のキャンペーンなどで聞き取り調査をする場合もあるし、PR誌だと「得意先訪問」なんてコーナーもあったりする。ひとくちにインタビューといっても、目的も色々である。インタビュー記事を書く他にも、いわゆる「情報」を得るための聞き取りもある。会社案内だったら、社長に「企業理念」とか「今後の事業計画」について語ってもらったりするわけで、新製品だったら開発者インタビュー、営業部長やトップセールスマンの聞き取りなんてのもある。

ところで、インタビューの方法は、人によってけっこう違う。ホント、それぞれ違っていて、面白い。ライターの友人と話をしてみると、それぞれメモ帳とか筆記用具とか、テープレコーダーとか、色んなこだわりがあったりする。先日、小説講座の講師としてお会いした堺三保先生は、USB付ICレコーダーを使っていて、そのままパソコンにつないで、とりこんでいるそうだ。キーボードから手を離さずに聞けるのが便利なのだそうで、「さすがだなあ。かっこいいな、すごいな」と思ったのだが、私はそれほど仕事でバリバリ使う機会もないだろうから、買うのは贅沢だろうなあ。私は、あいかわらずテープレコーダーを使っている。SONYの一番シンプルなヤツで、オートリバースもついていないやつ。通常は、120分テープを使っている。あらかじめ、時間制限が決まっているものだと90分とか使い分けている。120分でも60分たったら、ひっくり返さないといけないのだが、普通のインタビューだと30分か60分のどっちかを目安に考えているので、これがこれで時間の目安になっていいのである。インタビュー中は、相手からほとんど目を離さないので、時計が見れない。案外、時間がわからないのである。

メモ帳は、上着のポケットに突っ込んでいて、どっちかというと可能な限り、大学ノートを使っている。というのは、一日に何人もインタビューする場合もあるし、連続して十数人にインタビューをしたりすると、あとでまとめて原稿を書く時に、メモ帳だと小さすぎて、何冊にもなったりするから、整理しにくいのである。それから大学ノートだと、インタビューが連続して何件もある時に、例えば服装だとか、いろんな自分の覚え書きだとか印象だとか、色々と書き込みをしたりできるので、ラクである。ただ、難を言えば、大学ノートを使ってインタビューをすると、ノートをのぞき込まれないようにするのにちょっとコツがいる。まあ、のぞかれてマズイことはないのだが、インタビュー中にそっちに気にとられると困るのだ。あとは、インタビュー事項をだいたい12〜15個くらいにまとめて、ワープロで小さな字で出力し、ノートの裏にぺったりと貼っておく。こうすれば、話が途切れた時にすぐに別の質問に入れるし、聞きもらしをする心配もない。気のせいか、新聞記者出身のライターは、メモ帳が小さい傾向があるみたいである。雑誌ライターはいろいろである。メモ帳も、これがいいとか、あれがいいとか、けっこうこだわりがあって、面白い。

あとは、右側のポケットに必ずもう一本「乾電池」「テープ」「水性ボールペン」を入れておく。重要なインタビューだと、はじめからテープレコーダの乾電池を新しいのに変えてしまうのだけど、途中で乾電池を交換できそうだと、ランプが消えて、止まってから交換するので、すごく取りだせるように、2本まとめて、紙でつつんでおく(ビニールのままだと手間取るかもしれないから)。筆記具は、たいて水性ボールペンか、細字のマジック。私は、デザイン用のドローペンを使うことも多い。インタビューだと走り書きなので、とにかく滑りがいいのがいいのである。

インタビューそのものは、その場その場で、考えるので、あまりこだわりのようなものはない。コツといっても、経験上、こう聞いた方が聞き出しやすいみたいなものは少しある。たとえばちょっと思考レベルの高い事を聞きたい場合(その人の人生観を語ってもらうような場合とか)、いきなり「あなたの人生観は何ですか」と聞かれても答えられないので、インタビューはできるだけ「具体的」なところ、確実に答えられるものから始めるのがいい。挨拶とか、インタビュー主旨とか説明したあとは、たとえばその人の「名前」(意外と名前の確認もれがあったりするのだ。読み方まで確認しておくといい)とか必要なら住所、年齢。仕事観を尋ねるなら、「この仕事を選んだきっかけ」など、とにかく相手が悩まなくてもすぐに答えられることから、より高度なレベルに、順番に聞いていくのがコツである。

ところで、インタビューは事前に調べられることはできるだけ調べておいた方がいいのだが、調べたことを一度忘れるくらいのつもりで聞いた方がうまく行くような気がする。たとえば、有名人にインタビューする場合は、とくにそうで、事前にあまり調べ過ぎるとインタビューをする前から、すでに自分で原稿を作り上げてしまうことがあるからである。こういうライターは、インタビューでも、自分の書きたい原稿のためにそこだけの確認だけをして、本当に聞くべき内容、すばらしい内容を聞きもらしてしまう。でも、こういうインタビューは、ホントはもったいないのである。だから、どんなに調べておいても、それは全部一度捨てて、また本人の口から一から聞くぐらいのつもりの方がうまくいく。その方が、その人ならではの格言というか、その人にしか言えないような考え方、表現が拾うことができる。インタビューのオモシロさというのは、その「宝さがし」みたいなところがあり、けっこう、その人にしか言えないセリフ、その考え方をパッとわかるような、まるで「宝石」のように輝く言葉が見つかるものである。きちんと話を聞いていれば、文字にした時に、そこだけ輝いてるような言葉が、絶対に見つかるのである。ところが、事前に調べたことにあまりに頼り過ぎると、本来、見つけなければいけない「お宝」が見つけられないことがあるのだ。だから、謙虚に耳をすませる。耳がにごっていたらダメである。それには「信頼関係」が必要である。インタビューは、どこかデートのようなものだ。こちらが好意を向けて、愛をもって、謙虚に話を聞けば、必ず実りがあるものだと思っている。

もしかすると、小説を書く人が、作品を書く上で、取材の必要性を感じて、人に話を聞く場合もあるかもしれない。事前にインターネットや図書館などで、調べるだけは調べておかないといけないけど、本当は、人に話を聞く場合は、たいていの人は有り難いことに、自分の知っていることで、それが人の役に立つなら、話をするのは多少面倒でも、それほど嫌がらずにやってくれる。数百件してインタビューをして思うのは、人間というのはホント色んな人がいて、色んな考え方をしていて、しかも皆けっこうインタビューには喜んで応じてくれる「いい人」なのである。(まあ、インタビューは一期一会になることがほとんどなのだけど)

やっぱり人間というのは、自分のことを認めてくれる人に、自分の知っていることを話すのは嫌じゃないのではないかと思う。たぶん「本能的に」そうなっているんじゃないだろうか。だから、よほど失礼なことをしない限り、それはテクニックなんかではなく、思いやりとか謙虚さ、熱心さとかがあれば、必ず話を聞かせてくれるし、話してくれる人は見つかる。こんなこと調べられるのだろうか、なんて思っていても、どういうわけか、必ず話をしてくれる人は見つかる。不思議なことに、会いたいと思っている人にはちゃんと会えるようになっているのである。「こんな情報を聞きたい。だからこんな人に会いたい」というのは、必ず実現するものなのである。いや、これは無理じゃないかと思っても、ひょんなところから出会いができたりするのである。

全神経を使うから、けっこう消耗するけど、インタビューはおもしろい。ああ、最近、小説講座の仕事も楽しいけど、また取材の仕事がしたいな。

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