03/24/2022

作家志望の悩み

小説講座の担当をしていると、色々勉強になることも多い。もちろん頻繁に作家に会えるし、講師の話を聞いて、小説の書き方や出版業界について知ることも多いけど、週1回、社会人向けの講座なので、いろんな職業の生徒さんがいる。プログラマーや経理とか、獣医などもいて、けっこうバラバラだし、独身も既婚者もいて、子育て真っ最中の人もいれば、親の介護がある人もいる。

そんなふうに立場や経験が違う人が一緒にいると、小説の参考にもなりやすいが、まったく同じ話を聞いたり、同じ作品を読んでも感じ方がだいぶ違うのがおもしろい。先日も、授業の後にいろんな質問があったのだが「へえ、そういう考え方するのか」と少し驚いた。こういうところが小説講座のいいところかもしれないが、作家志望の悩みや考え方にも、ひとによって色々違いがあって興味深い。

03/23/2022

小説指導は印刷物で

昨日は、生徒作品を印刷して、在校生に一斉発送。

このところ、授業はずっとオンラインと併用。だから、指導作品もPDFとかオンラインで送れば安上がりなのかもしれないが、うちは一応、長編も短編も印刷して全員郵送することにしている。まあ、最近、小説コンテストもデータ入稿での応募ってのも多いし、これだけ電子書籍が普及すれば、そのうち全部オンラインになるのかもしれないが、やっぱ、いまのところ、まだ紙の方が誰にでも読みやすいし、丁寧にチェックもしやすい。

うちの講座は、週末の土曜夜だし、社会人ばかりで既婚者も多く、とくに遠方で教室通学が難しいって人にはオンラインはとても便利なんだが、作品指導は、やはり直接本人と対話ができる方がいいんだよね。ディスカッションもしやすいし。

ところで、うちの小説講座は、講師が複数いるので、作品指導も、一応、事務担当の私がいったん読んでから、どちらの講師に指導を依頼するか決めることにしている。たとえば、ミステリについては、ミステリ作家に依頼することが多い。ただ、生徒希望とか講師都合とか、ジャンル以外にもいろいろ理由があって、ぜんぜん違うジャンルの作家が指導するということもよくあるけど。

今回は、長編はまだ読めておらず、どちらの講師に依頼するかが決まらず、短編のみ講師に発送。

ようやくマンボウ解除で、さすがに4月の教室は大丈夫だと思うのだが、三連休の人出も多かったし、また感染が増えたりしなきゃいいのだが……。

03/22/2022

時代考証のさじ加減

先週の小説講座の講義「歴史ファンタジーと時代考証」は、教室やオンライン参加者からの質問も多く、大変興味深い内容でした。

一口に時代考証といっても、歴史小説と時代小説、歴史ファンタジーなど、作品のタイプによって、だいぶさじ加減が違うんですね。講師の先生は、大河ドラマや歴史のゲームなどでの時代考証の違いなど、いろんな例をあげながら、歴史を描く場合、たとえば忍者について書くならコレがいいとか、参考になりそうな書名もたくさん紹介してもらいました。

教室の皆さんも熱心にメモをとられていて、30分も延長しました。

03/19/2022

時代小説ランキング

今週末の小説講座は、「歴史ファンタジーと時代考証」がテーマなので、最近の時代小説とか歴史ファンタジーの流行を調査中。先週はオンライン講義を聞いたが、今週は、書店などの売行き状態を見たり。

アマゾンの売れ筋ランキングによると、現在の「歴史・時代小説」の売れ筋は、下記の通り。
1、佐伯泰英『独り立ち』
2、瀬川貴次『ばけもの好む中将11』
3、今村翔吾『恋大蛇 羽州ぼろ鳶組 幕間』
4、高田郁『あきない世傳 金と銀(十二) 出帆篇』
5、今村翔吾『塞王の楯 』
6、上田秀人『高家表裏譚5 京乱』
7、神永学『浮雲心霊奇譚 血縁の理 』
8、永井路子『炎環』
9、中島久枝『あたらしい朝』
10、金子成人『ごんげん長屋つれづれ帖【四】-迎え提灯』

なお、アマゾンでは文庫メインで、40位くらいまですべて文庫。直木賞の影響だと思うけど、今村先生の『塞王の楯 』だけが単行本。時代小説は、最近少し人気が落ちてきているというけど、まだまだ根強い人気ジャンルだなあ。


03/16/2022

小説ときどき映画『毒薬と老嬢』

長年、小説講座の事務をやりつつ、専門学校などで非常勤講師をやっていた。
 
今年度でどこも終わったので、もう講師業はやってないのだが、一番長く担当していたのは映画解説などをする授業だった。古いのから新しい作品まで。いろんなDVDを見せながら解説する。十数年、毎週授業をやっていたおかげで、こちらもずいぶん勉強にもなった。
 
そこで一度だけ、フランク・キャプラの『毒薬と老嬢』という映画の解説をやったことがある。もともとブロードウェイで1940年代にヒットした舞台。ブラック・コメディの最高傑作と言われる名作で、抱腹絶倒のストーリー。
 
日本でも何度か上演されているが、今年、また久本雅美×藤原紀香 W主演で、しかも「関西弁」で演るらしい。
 
もともとコロナで2年ほど延期されていたが、大阪松竹座でも4月に上演するみたいなので、けっこう楽しみにしている。
 
小説も好きだけど(この仕事は儲からないので好きじゃないと続かない)、映画や舞台も大好き。早くコロナが落ち着いたらいいのに。

 

03/15/2022

時代考証と科学考証

今週末(土曜日)の小説講座は、時代考証のテーマの講義だ。

時代考証にも、「わりと学説も変わっていく」という問題がある。新しい資料が発見されたり、解釈が変わったりして、定説が変わってしまうことがあるからだ。一方、SFを書いている人だと、科学だと新しい発見があったりして、それに刺激を受けて、どんどん作品に取り入れていったりする。

時代小説を書く人なら、時代考証はわりと大事なのだが、ミステリやSF、ファンタジーでも、どういう設定かはけっこう重要。べつに研究書ではなく、小説だから、面白かったら、なんだっていいのだけど、たとえばミステリなら、警察の科学鑑定もある。まあ、説得力の問題なんだろうな。

しかし、映画やドラマなどを見ていると、シナリオライターとは別に「設定考証」をする役割のスタッフが別にいることもあるようだ。まあ、小説家だって、プロだったら、たとえば編集者や校閲者がチェックしてくれたりするかもしれないけど、まだプロになっていない小説家志望の人なら、そういう機会もない。

まあ、小説講座だと作品指導があったり、わりと他の人から教えてもらったりできるんだけど、結局、最終的には、ぜんぶ自分一人でやらないといけない。きっと、小説は、そこが面白いところでもあるんだろうけど。


 

 

03/14/2022

大河ドラマと小説とキャラクター

今年の大河『鎌倉殿の13人』は、三谷幸喜脚本で「キャラ」が面白い。

うちの小説講座は、SF、ミステリなどを書く人が多いのだが、時代小説に挑戦する人もけっこういて「時代考証」や「人物像」なんてのもよく話題になる。しかし、「歴史上の人物が実際にはどんな人だったのか」というのは、結局、たぶん完全にわかることはない。だけど、資料から見て、ある程度「説得力」がないとダメだし、キャラとして「魅力的」じゃないと、ストーリーがつまらなくなる。

今週の小説講座の講義は、久しぶりに「時代考証」がテーマなんだけど、先生は、大河ドラマは毎年必ず見ておられると言っていた作家さんなので、今年の感想を聞いてみよう。

03/13/2022

大阪市中央図書館で、時代考証について色々考える

いろいろ調べ物などもあり、久しぶりに大阪市立中央図書館へ。

午後から、イヤホンにて「コンテンツ文化史学会」の講演会を拝聴。

2021年度例会「大石学・時代考証学会編『戦国時代劇メディアの見方・つくり方』(勉誠出版、2021)書評会」

図書館の中で、小説講座の講師の芦辺拓先生が話されていたのを聞く。時代考証について色々勉強に。
それにしても、スマホでZOOM参加だったのだが、どこからでも参加できるオンライン講演は便利。

http://www.contentshistory.org/2022/02/14/1935/

03/12/2022

小説講座も、もう創設24年。

ところで、もう3月。毎年、この時期になると、ふと思うことがある。小説講座を創設して、今年で何年かなと。そうだ、今年で24年だ。

講座の創設記念で、初めて小説家の講演会をやったのが、この時期だ。個人的には、ちょうど私の双子の娘たちが生まれてまだ間もない頃。なんせ自分の娘の年齢と同じだから覚えやすい。当時は、まだ数ヶ月のゼロ歳の赤ん坊だったのが、今ではもう24歳。

ちなみに、私は「第一期」からずっと今まで事務の担当をしているんだが、実は、開講当時、第一期の時はサブ担当だった。別の男性が担当をしていたのだが、この男性はもともとシナリオライター志望だったため、翌年には退職して、東京に転職してしまった。その後、シナリオライターになって活躍されたかどうかは知らない。

また、講座の内容を企画したのも、ある作家さんだった。今は独立して、別団体になっているのだが、設立当時は「大阪シナリオ学校」の中の1コースだった。うちは、20人以上の講師が週替わりに講義を受け持つスタイルなのだが、コースを企画したこの先生が講師依頼もしてくれたのだった。ちなみに現在、この先生は、その後、すぐ小説の方は「断筆宣言」をされてしまったが、実は、その後、ノンフィクションの分野でたくさん著書を出されている。ペンネームも変更されているので、ほとんどの方は知らないと思うが、そう思うと24年というのは、けっこう長い。

うちの講座は、小さな小説講座だし、もともと非営利団体として運営していて、ほとんど儲からないのだが、24年も続けてきたら、開講時に目標だったプロ作家になった人もけっこういる。まあ、こんな地味で目立たない講座でも、講師と生徒さんのおかげで、低空飛行ながら、何とかつぶれずに継続できたというのはありがたいな。









03/11/2022

西村賢太「どうで死ぬ身の一踊り」と小説指導の手配

西村賢太「どうで死ぬ身の一踊り」「2度とはゆけぬ街の地図」を2冊読了。さすがに圧倒される内容。

日頃、純文学はあまり読まない。うちの講座は、エンターテインメント系の創作講座だ。だから、生徒さんも、SF、ミステリ、ファンタジー、時代小説などが多く、純文学系の小説を書く人はほとんどおらず、とくに私小説を書く人はほぼいない。

だけど、たまたま事情があって読むことに。べつに食わず嫌いというわけではないんだが、一応「エンターテインメントノベル講座」なので。
夕方、小説講座の事務所に立ち寄って、3月分の提出作品を確認。

今回提出された生徒作品は、長編と短編(ショートショートを含む)、ミステリ、時代小説、SFなど、あわせて5本だった。うちの講座は、講師が複数いるので、作品に目を通して内容確認してから、誰に依頼するか講師を決めている。長編が多いとすぐ決められないこともあるのだが、今回は、長編は1本だけ。短編はわりと早めに提出された分もあったし、すぐに講師に作品指導を依頼。

4月は、さすがにもうマンボウもないと思うけど、教室&オンラインの予定。

 

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